
飯田美紀子〈著〉「越後の華乃城」
昭和から平成の激動の時代を駆け抜けた「越後の三女傑」と言われた、伝説の女将・橋本キヨの生涯を描いた「越後の華乃城」が4月4日(金)、自由国民社から刊行される。著者は橋本キヨさんの娘であり、「白玉の湯 華鳳」女将の飯田美紀子氏。
橋本キヨは、昭和の足音が聞こえるころに生を受けた。独学で得た教師の職を辞して大地主の家に嫁いだものの、農地改革の荒波を受け苦難の生活を送る。
その後、本人の強い意志で、40歳を過ぎて温泉旅館を創業。素人女将ながらに奮闘し、持ち前の機転と行動力を駆使して宿を成功させようと一心に突き進む。やがて小さな温泉旅館を、新潟一の規模を誇る「白玉の湯 泉慶・華鳳」へと育て上げる。
本書は、宿を大きくしたキヨの経営手腕や、お客様へのおもてなしの心、女将を継いだ娘たちへの愛情、そして共に宿を創業し、公私ともに生涯のパートナーとなった飯田正晴氏との絆など、娘である飯田美紀子女将の視点から丹念に綴られている。
逆境に立ち向かう姿勢や、チャンスを見出す臨機応変さ、お客様からもらったヒントで事業を成長させる行動力など、観光・旅館業界に関わる人には参考になるエピソードが多い。また、今もなお人々の記憶に生き続ける伝説の女将の物語としても感銘を受ける1冊。四六判248㌻。2200円(税込)。
「白玉の湯 泉慶・華鳳」は旅行新聞新社主催の第50回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で総合1位を獲得している。